脳卒中になって、人生面白くなってきた

愛犬とリハビリして、再生医療受けて、MBAを取って、起業を目指している人の話

傷心期

心に穴があいてしまった8

火葬場へ連れて行く日まで、沢山の人と犬が来てくれた。 火葬場に向かう間際も、考えられない程の人達が集まってくれた。そんな暖かい方々に、私はこんな挨拶をした。今でもはっきりと覚えている。 「12年前、彼が我が家に来た時、私達夫婦はコパンと名付け…

心に穴があいてしまった7

その次の日の出張は、とてもつらかった。心に大きな穴が空いてしまった。ただただ、笑顔でいることに勤めた。記憶がほとんどない。お父さんは上手く笑えていたのかな?どうだったのかな?コパン。 帰宅すると、部屋は沢山の花が敷き詰められていた。本当にび…

心に穴があいてしまった6

コパンはその日の夜、ずっと泣いていた。普段吠えることはないのに。寂しかったのだと思う。私達を心配していたのだと思う。私達夫婦の間で、コパンはずっと泣いていた。 24時を過ぎたあたりで、私達はこうコパンに語り掛けた。 「今まで本当にありがとう。…

心に穴があいてしまった5

医師は点滴治療に、毎日自宅まで来てくれていた。忙しい中時間を作って。 コパンは流動食も中々食べられなくなっていた。しかしながら私達夫婦は、針のない注射器で様々なものを口から流し込んだ。エゴかもしれないが、1日でも長く見守りたかった。 6日目の…

心に穴があいてしまった4

2回目の抗がん剤は効果が表れなかった。日ごとに歩く距離も短くなり、食事もとれなくなっていった。 それ以降の抗がん剤治療は行わないことにした。何度も何度もコパンを助けてくれた医師からは、こんなことを言われた。 「ここからはコパンがくれるギフトの…

心に穴があいてしまった3

第1回目の抗がん剤が行われた。コパンは見違える様に元気になり、お気に入りの公園を一緒に散歩した。このまま良くなるのだと思った。 この公園は私が病気をする前からよく来ていた。休職中は妻が、コパンと私を連れてきてくれていた。 コパンは私が病気にな…

心に穴があいてしまった2

2018年5月、コパンの癌が再発した。消化器系リンパ腫。手術は不可能で、抗がん剤治療しかないのだという。ただそれでも、根本的な治療にはならないそうだ。 我が家のベランダには、コパンと一緒に植えた朝顔の芽が出てきていた。ただせっかく芽が出ても、コ…

心に穴があいてしまった

少しだけ時間を戻させていただく。 コパン(愛犬)は2005年8月4日に生まれ。生まれて3ヵ月で、我が家へやってきた。8月4日は私の母の命日でもある。子供のいない私達夫婦にとって、彼はいつも主役だった。小さな頃から身体がとても弱く、病院にばかり通ってい…